オスプレイ殉職米兵に哀悼の意を捧げる

 在日米空軍の輸送機CV22「オスプレイ」が鹿児島県の屋久島沖で墜落し、乗組員8人が死亡した。わが国の安全保障に関わる任務での殉職である。深甚なる敬意と哀悼の意を捧げたい。同時に「自由を守る」重要な米軍輸送機であるオスプレイが今回の尊い犠牲を契機に一層、安全性と精鋭性を高めることを望みたい。戦争を防ぐ「抑止力」を決して弱めてはならないからである

 米軍兵士は、祖国・米国や米国民を守るのみならず、同盟国の平和と安全のために自らの命の危険に顧みず勇敢に任務に携わってきた。その途上での殉職である。岸田文雄首相はバイデン米大統領に「在日米軍関係者が故郷や家族を離れ、我が国の国及び地域の平和と安全を維持するため、日夜任務に励んでおられることに心から感謝しつつ、亡くなられた方々のこれまでの日米同盟への献身に感謝を表した」との弔意の書簡を送った。当然である。

 わが国においても自衛隊員は旺盛な責任感をもって危険を顧みず日本の平和と独立を守る崇高な任務の完遂に努め、その中で不幸にも職に殉じた隊員は2000人を超えている。殉職者に対して所属各部隊で葬送式を行うとともに首相参列のもとで毎年、自衛隊殉職隊員追悼式を行っている

 ところが、左翼勢力は今回の墜落事故に対して哀悼の意も表せず、オスプレイがあたかも欠陥機であるかように「危険だ、危険だ」と不安を喧騒に言い立て、わが国から追い出そうと企てている。共産中国や北朝鮮をどこまで利したら気が済むのか、まことにもって亡国の徒たちである

抑止力に欠かせぬオスプレイの意義

 旧型機(CH46E中型ヘリ)よりも最高時速2倍、航続距離6倍、積載重量4倍という実力を備えている。旧型機は武装兵14人を約140㎞先まで運ぶのが精一杯だったが、オスプレイは24人を運べ、基地を出て帰還する「行動範囲」は4倍以上の600㎞。空中給油で1100㎞に広がる

 これによって沖縄から往復できる行動範囲は朝鮮半島や中国、関西にまで拡大する。中国ではオスプレイの普天間配備について尖閣諸島の防衛が目的との声が出たように、尖閣防衛に大きな力を発揮し、配備によって抑止力が一段と高まった。朝鮮・台湾有事に戦力を発揮するのは言うまでもないことだ。

 現在、米軍は全世界で海兵隊400機(MV22)、空軍51機(CV22)、海軍27機の500機近くを運用している。わが国では海兵隊のMV22が沖縄・普天間基地に24機、CV22が東京・横田基地に6機、陸上自衛隊が千葉・木更津基地で14機のMV22を運用している。

 防衛省によれば、飛行10万時間当たりの重大事故発生件数を示す事故率はMV22が昨年9月末時点で、米海兵隊運用機の平均値より低い2・27である。一方、CV22の事故率は6・00(今年9月末)と3倍近く高い。空軍機は最も厳しい対テロ戦などの特殊作戦に投入される部隊で運用されており、夜間飛行性能などを強化されており、運用形態が厳しいことや正式採用から日が浅いことが影響していると見られている(時事通信12月3日)。このことからもオスプレイが「自由を守護」するためにいかに重要かが知れよう

 もとより安全確保は重要な課題である。軍用機は激しい実践訓練などで事故が起こる可能性があり、事故原因の究明が不可欠なのは論を待たない。米軍規則によれば、新兵器・装備に「構造上の危険」があれば、原因が取り除かれるまで運用を中止する。米国は人権を尊び、米軍人は「米国民の家族」であるからである。何年も訓練した精鋭の海兵隊員や空軍特殊部隊兵をやすやすと事故で亡くす損失も計り知れない。だから安全性を確保する規則は徹底しているのである(左翼は米国人を鬼畜のように見なしている=恐るべき人種差別だ)。

墜落したオスプレイの乗組員を捜索する海上保安庁

安全性を確保し運用再開を急げ

 今回、墜落したCV22については飛行停止とし、さらに機体を回収した後、「構造上の危険」の可能性が浮上したためMV22を含め世界に展開しているオスプレイを飛行停止としている。MV22の飛行停止が遅れたことをもって「日本人の人命を軽視している」といった左翼勢力の主張は為にせんがための愚論と言わざるを得ない。

「構造上の危険」があるなら直ちに是正し、なければ速やかに運用再開とすべきである。日本のみならず世界の平和を疎かにすることは断じて許されない。

【思想新聞月12月15日号】テロは絶対に許さない」が原則/真・日本共産党実録/朝鮮半島コンフィデンシャル/共産主義「定点観測」

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