「同性婚」の是非問うLGBT運動の「本丸」

国に損害賠償求める同性カップル

 

 同性同士のカップルが結婚できないのは、憲法が保障する結婚の自由や平等原則に違反するとして、東京都や埼玉県などに住む6組の同性カップルが2月14日、国に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 

 さらに、札幌・名古屋・大阪の3地裁でも同日、7組のカップルも一斉に提訴、全国で8都道府県に住む20代から50代までの男性カップルと女性カップルの13組計26人が提訴した。同性婚が認められないことの違憲性を問う国家賠償請求訴訟は初めて。

 

 

 原告らはこれまで、役所に婚姻届を提出しようとしたが、同性婚は認められないとする自治体が「不適法」として受理しない事態が相次ぎ、「結婚が認められず、精神的な苦痛を受けた」とし国に賠償を求め提訴に踏み切ったものだ。

 

 

 結婚については、現行憲法で「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」「夫婦が同等の権利を有する」(24条)としているほか、民法や戸籍法でも「夫婦」という文言を使って規定している。

 そのため、結婚の当事者は男女のカップル、つまり「一夫一婦制」が前提で、同性婚は法律上、認められないとするのが政府の立場だった。

 

 原告側訴状によると、憲法24条は「家制度に基づいた明治民法下の婚姻を否定する内容」であり、「国や第三者に干渉されず、望む相手との合意で結婚が成立する《婚姻の自由》を保障するものであって、同性婚を禁止する内容ではない」と主張している。

 

 さらに原告側は、「結婚できないために様々な差別を受けている」とする。

 具体例として、

 ①法定相続人となれない②共同親権がない③住宅の賃貸やローン契約を拒まれる④手術の同意者になれない――

 

 といった制約が憲法14条の「法の下の平等」に反していると主張。それゆえに、同性婚を認める民法や戸籍法の改正をしてこなかった国会は「正当な理由なく長期にわたって立法を怠った」と批判し、「立法不作為」にあたるとして、国にそれぞれ100万円の損害賠償を求めたものだ。

 

護憲を装う左翼リベラル勢力の「ダブルスタンダード」

 

 しかし、ちょっと待ってほしい。

 

 原告らが「国の不作為」だと言うのなら、政府・与党が「憲法改正」を叫んでいる中で、24条の改正を視野に入れた改正のための議論をしようとするのが、スジというものだろう。憲法には一切手をつけずに民法や戸籍法だけ変えるというのは、戦略戦術上「護憲」を装う左翼リベラル勢力の「ダブルスタンダード」ぶりの面目躍如というほかあるまい。

 

 同性婚を認めよとして同性愛カップルが国家賠償を求めて裁判を起こしたのは、LGBTと呼ばれる「性的少数者」らの運動がいよいよ「本丸」に入ってきた、とも言える。

 

 ましてや、「婚姻に準ずる関係」を認める「パートナーシップ」制度が、首長の裁量などで制定された自治体も少なくない。「差別」か否か当事者にしか分からないかもしれないが、法的利益を婚姻関係に準じたものと認める「パートナーシップ制度」をはるかに超えて一挙に「同性婚」を認めよと国に迫ったことは、日本の伝統文化と家族制度に対する明らかな挑戦だと見るべきである。

 

 千葉市では1月29日から同性カップルのみならず、いわゆる「事実婚」のカップルにもそれを認めようというパートナーシップ宣誓制度がスタートした。熊谷俊人市長に届け出たのはLGBTのカップルが4組、事実婚が2組だった。これを報じた翌30日の「千葉日報」は、事実婚の団体職員(39)の「結婚制度には違和感を感じていた。多様な家族の関係を応援してくれているようでうれしい」とのコメントを掲載。

 実はこの「結婚制度に違和感」「多用な家族の関係」という言葉こそ、いみじくも彼らの思想の本質が窺えるものである。

 日本の家族はこれまで数千年にわたり子々孫々、連綿と営みを続けてきた。家族を中心に結束し家族が集まって社会そして日本という国家を形成してきた。そうした家族のカタチから、伝統的な婚姻制度を破壊し、戸籍制度も廃止しようという勢いなのだ。

 

 

 

思想新聞「体制共産主義に警戒を」3月15日号より(掲載のニュースは本紙にて)

3月15日号 米朝首脳会談「挫折した北の賭け」/ 日韓トンネル推進熊本総会 釜山・大邱からも来賓/ 主張「辺野古移設を毅然と進めよ」 etc

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