Zoom会議=「中国のスパイ」の危険性

 

暗号化キーが中国のサーバーを経由する「Zoom会議」

 

 中国・武漢発新型コロナウイルスのパンデミックは、人類が経験しなかったほどの規模で拡大しなお進行中だ。あらゆるモノがグローバル化したゆえの未曾有の感染拡大と経済打撃だ。その一方、インターネットのSNSの定着で、「テレワーク」による「働き方改革」や「WEB受講」など通信による学習方法が飛躍的に活用されるものと見込まれている。

 

 前者の強力な「ツール」として注目されるのが、各所にいるメンバーがオンラインで一堂に会しウェブカメラ映像で参加する「ビデオ会議」だ。これを利用し「マツコ会議」などのTV番組が放送されている。その中でも、このビデオ会議に最近とみに利用者が爆発的に増えていると言われているのが、「Zoom(ズーム)」と呼ばれる会議サービスアプリだ。

 

 ところが、デスクトップからノートパソコン、タブレットやスマートフォンにまで対応し簡単に参加可能なこのズーム、実は非常に「危険な代物」であることが明らかになってきた。

 実はこれまでにもズームには、特定のパソコンのウェブカメラを許可なく起動しうる脆弱性や、個人情報を許可なくフェイスブックに送信するプライバシー問題などが指摘されてきた。

 

 しかしそれ以上に決定的なのが、4月3日にカナダのトロント大学附属の「Citizen Lab(シティズン・ラボ)」というネットワーク中立とセキュリティに関する研究所が、独自調査で、「暗号化キーが中国のサーバーを経由する」「『待機室』機能に脆弱性が存在」と重大な問題があることを発表した(「GIGAZINE」4月6日付)。

 

 ズームのビデオ会議では、まずオンラインのサービスを行うサーバーが「暗号化キー」を生成し、会議参加ユーザーには、暗号化システムを介し同じ暗号化キーが配布されるが、これが「中国のサーバーに保管されている」というのだ。

 

 ズームのキー管理を行うサーバーシステムは世界に73カ所あり、5カ所が中国に置かれるが、米国とカナダに住むシティズン・ラボの研究者は「明らかに北京にあるサーバーから暗号化キーが送信された」と報告。そもそも、サーバー所有者は中国当局と暗号化キーを共有しなければならない法的義務があるのだという。この暗号化キーから、ミーティング内のチャットやビデオを復元することすらできることになる。さらに、この報告ではズームの「暗号化」自体にも脆弱性があるとも指摘している。

 

 さらに、シティズン・ラボは会議の管理者がミーティングに参加するユーザーを制御できるズームの「待機室」機能の脆弱性も指摘。待機室機能を有効化されたミーティングの場合、ミーティングに参加するユーザーはまず「待機室」に入り、管理者の許可を受けミーティングに参加できる。

 

これからは、中国系サーバーに頼らない「国産」起業家・アプリ・システムの育成を

 

 ズームを開発・管理運営するのは米カリフォルニア州サンノゼにある「ZoomVideo Communications」だが、創設者でCEO(最高経営責任者)のエリック・ヤンはスタンフォード大卒の中国系米国人だ。「千人計画」を公言しているように中国では破格の待遇で人材のスカウティングを行っている。今年1月末、米ハーバード大学の化学部のチャールズ・リーバー学部長が1億円超のギャラで中国・武漢理工大の科学者となり、スパイ容疑で逮捕・起訴された。

 

 さて、このようなクラウドサービスにおけるサーバーが中国製であったり、中国に置かれていた場合のリスクは他にも指摘されてきた。一昨年から日本のテレビ地上波番組とのコラボCMで脚光を浴びたモバイル端末向け動画投稿サイト「TikTok(ティックトック)」(中国ByteDance社)もそうだ。昨年12月、米国政府は国家安全保障上のリスクの懸念から、米軍関係者は使用が禁止されている。

 

 

 こう見ると、ビジネスアナリストの深田萌絵氏が指摘するように、サーバーが中国にあるものは絶対危険だと見なすべきだ。

  

 その意味で、本欄で先に述べた解雇された東大准教授の例に漏れず「国産」の起業家・アプリ・システムを育成することは、日本の将来を見据える上でも絶対に必要なのである。

 

 

関連記事:「HUAWEI副会長逮捕 ー 中国IT企業は「巨大諜報機関」である」

 

 思想新聞【文化共産主義の脅威】 Zoom会議=「中国のスパイ」の危険性 4月15日号より(掲載のニュースは本紙にて)

4月15日号 米海兵隊「戦略設計2030」の衝撃 南西諸島の日米合同防衛計画へ / 名古屋で安保セミナー 愛知県連合会 / 主張 戦後初の「有事」国民精神こそ問え

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