共産党は「暴力革命」を隠し持つ

 

 総選挙を前に明確にしておくべきことがある。それは日本共産党の本質はマルクス・レーニン主義に基づく暴力革命政党であるということだ。

 TBSテレビが9月10日放送のワイドショー番組で、コメンテーターの八代英輝弁護士が「共産党は暴力的な革命を党の要綱として廃止していない」と発言し、これに対して共産党は八代発言を「フェイクだ」とし「謝罪と訂正」を求め、TBSはこれに応じて9月13日に謝罪した。TBSの無知、共産党の圧力にいかに弱腰か、呆れるほかない。

 共産党は暴力革命を内在する「敵の出方論」を放棄していない。それを「フェイク」とし謝罪・訂正させる厚顔さは国民を愚弄するものだ。

 朝日新聞によると、小池晃書記局長は9月13日に行った記者会見で、「敵の出方論」という表現について今後は使わないことを9月8日の中央委員会総会で決め、「2004年(の綱領改定)以降使っていないが、もう使わないことを明確にした。用語としては撤回したことになる」と述べた(9月14日付)。

 

 注意すべきは「敵の出方論」という用語を使わないとしているだけで、革命路線を撤回したとは一言も言っていないことだ。

 

 加藤勝信前官房長官は9月14日の記者会見で、共産党の「敵の出方論」に立つ暴力革命の方針について「変更ないものと認識している」と改めて政府の立場を説明している。

 

「敵の出方論」は共産党の基本路線

 

 「敵の出方論」は革命が平和的になるか、それとも流血を伴うか、それは「敵の出方」で決まるとの革命路線で、宮本顕治元共産党議長の『日本革命の展望』(新日本出版社)に明示されている。

 同著は宮本綱領と称される「日本共産党綱領」が採択された1961年の第8回党大会直後の同年11月、日本共産党中央委員会出版部から発刊された。

 「刊行にあたって」は60年安保闘争を称え「この偉大なたたかいのなかで、わが党の基本路線とそれにもとづく指導の正しさをみごとに証明」されたとし、「党綱領を正確に理解し、綱領上の諸問題を正しく解決するための鍵となり、また修正主義を克服するための決定的な武器」となると記している。

 

 同著は共産党の革命路線の正統な解説本である。「革命への道すじ」について、平和革命唯一論は「社会民主主義的見地への完全な転落である」と排除し、「革命が非流血的な方法で遂行されることはのぞましい」とする一方で、こう言った。

 「反動勢力が弾圧機関を武器として人民闘争の非流血的な前進を不可能にする措置に出た場合には、それにたいする闘争もさけることができないのは当然である。支配階級がその権力をやすやすと手ばなすものでけっしてないということは、歴史の教訓のしめすところである。われわれは反動勢力が日本人民の多数の意志にさからって、無益な流血的な弾圧の道にでないように、人民の力をつよめるべきであるが、同時に最終的に反革命勢力の出方によって決定される性質の問題であることも常に忘れるべきではない

 「(暴力路線の)五一年綱領が『日本の解放の民主的変革を、平和の手段によって達成しうると考えるのはまちがいである』という断定をおこなって…いわば暴力革命不可避論でみずからの手を一方的にしばりつけているのは、あきらかに、今日の事態に適合しないものとなっている。したがって‥‥どういう手段で革命が達成できるかは、最終的には敵の出方によってきまることであるから、一方的にみずからの手を縛るべきではない」

 

 1950年代の火炎ビン闘争を指導したスターリン製「五一年綱領」が間違いだったと宮本は一言も言っていない。

 

 

 平和手段か暴力手段か、一方的に自らの手をしばるなと言い、「敵の出方」いかんによってはいつでも五一年綱領が示した暴力革命に立ち返ることが可能との立場を示した。その後も「敵の出方論」は不変だ。下司順吉・党中央委員は宮本の革命観を党員に徹底するため次のように述べている。

 

 「国会で安定した過半数をしめることは、それが『できるならば』とかかれていることからもわかるとおり、これを革命の唯一の展望としては絶対化せず、一つの可能性としてとりあげていることです。わたしたちは、この可能性を追求しますが、国会で安定した過半数をしめるという過程をとおらないで革命にのぞむ可能性もあるということを見のがしてはいません」(党月刊誌『議会と自治体』67年9月号=巻頭論文)

 

「日本革命の展望」を放棄すると明言したことは一度もない

 

 「敵の出方論」どころか、国会で過半数をしめないで革命にのぞむ可能性もあるとしているのだ。

 今に至るまで、宮本の後継者たち(不破哲三・志位和夫は宮本顕治が示した「日本革命の展望」を放棄すると明言したことは一度もない。それを彼らは「綱領路線」と称している。

 

 2004年採択の今日の綱領でも米帝と日帝の「二つの敵論」に立つとする宮本の二段階革命論を踏襲し、「敵の出方論」を温存している。八代氏の発言は正しい。謝罪・訂正すべきは共産党のほうだ。

 

思想新聞【オピニオン・主張】 共産党は「暴力革命」を隠し持つ 10月1日号より(掲載のニュースは本紙にて)

10月1日号 毛沢東回帰で平等実現目指す中国 成長軽視の『共同富裕』路線 習思想教育は個人独裁を生む / 小冊子 『勝共UNITEと憲法改正』を刊行 /【主張】共産党は「暴力革命」を隠し持つ

機関紙「思想新聞」へのお問い合わせ・購読はこちらへ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. Zoom会議=「中国のスパイ」の危険性

  2. 【衝撃】36万人組合員の全トヨタ労連 『自民との対立をやめた』

  3. モンゴル母語保護運動国際会議 中共の文化破壊策を許すな

  4. 日本学術会議は解散せよ

  5. 共産党「マルクス未来社会論」は原始共産制へ「先祖返り」

  6. 白人であることは永遠に罪なのか ~米国文化破壊に向かう批判的人種理論~…